もし1995年の正月、100万円を日経平均にあずけて、30年間いちども降りなかったら――。この絵巻は、その100万円がたどった道のりを、株価の記録だけで淡々と描いたものです。
基準日 1995-01-04 = 100万円として算出した相対値。月次(約380点)。
阪神・淡路大震災、そして1ドル79円の超円高。日本が足場を失いかけた年に、この旅は始まる。手元にあるのは100万円。日経平均にあずけて、30年間いちども降りないと決めた。
三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券。「銀行は潰れない」という常識が、ひと冬で崩れた。資産ははじめて、元本を大きく割り込んでいく。
破線は、1998年秋にすべて手放した場合の資産価値。
世紀の変わり目に膨らんだネット株の熱狂は、3年かけて静かに萎んでいった。派手な破裂ではなく、長い失望。気づけば資産は半分を切っていた。
りそなショックの2003年春を底に、市場は5年間ほぼ登りつづけた。悲観の中で持ちつづけた人が、はじめて報われた時間。それでも資産は、まだ元本に届かない。
2008年9月15日、ひとつの投資銀行の破綻が、世界中の株価を同時に沈めた。資産は半年でほぼ半分になり、30年でいちばん深い谷が刻まれる。
破線は、2008年10月にすべて手放した場合の資産価値。
2011年3月11日。チャートに刻まれた急落は、失われたものの、ほんの一部でしかない。この谷は、日常のすぐ隣にあった喪失の記録でもある。
「大胆な金融緩和」という言葉とともに、20年ちかい停滞が動きだす。3年で資産はおよそ2倍。ただし、その道も一本調子ではなかった。
2020年3月、世界が止まり、株価はひと月で3割落ちた。そして、誰もが驚く速さで戻った。売った人と売らなかった人の差が、もっとも大きく開いた局面。
破線は、2020年3月にすべて手放した場合の資産価値。
2024年7月、34年ぶりに史上最高値を更新。その3週間後、日経平均は1日で4,451円下げた。頂と崖は、いつも隣り合わせにある。
破線は、2024年8月にすべて手放した場合の資産価値。
100万円は、幾つもの深い谷をくぐり抜けて、ここまで辿り着いた。途中で降りた灰色の線は、それぞれの谷で止まったまま動かない。この差をつくったのは予測の巧さではなく、降りずに乗りつづけた時間の長さだった。
途中で降りた四本の灰色の線は、それぞれの谷で止まったまま動かない。
出典: 日経平均株価(月次終値をもとに算出した相対値)。配当・税・手数料は考慮していません。
相場データ博物館 ─ 常設展「日経三十年絵巻」